(前編)(後編)
Friend or enemy?(前編)
白い陽射しが眩しい昼下がりのミナス・ティリス。その最上層にある王宮の奥、緑豊かな庭を囲む回廊をエルダリオンは歩いていた。その足がふと止まる。背後から足音と甲冑の触れ合う音が聞こえてきたからだ。エルダリオンは周囲を見回し、中庭に飛び込んだ。樹木の陰に身を屈め、息を潜める。程なくして高い足音が回廊に鳴り響いた。
「そちらはどうだ?」
「いらっしゃいません。既にここを抜けられたのでは……」
「よし、お前たちは外にまわれ。我々は部屋をあたる」
慌ただしく命令が発せられ、足音は遠ざかっていった。エルダリオンはふぅっと息を吐き、背後の幹にもたれた。だが、こうしてはいられない。部屋を捜して見つからなければ、次に捜索されるのは中庭だ。避け切れるものではない。
——さて、どうするか。
移動しなければならないが、今、建物に入ったら見つかってしまう。しかし、ここに居ても結果は同じだ。いずれ見つかる。
——とりあえず動くか……。
灌木の陰に身を伏せ、動こうとしたとき——、
「それじゃ、丸見えだぞ」
頭の上から声がかかった。グェッ……という声は呑み込んだが、身体が飛び上がった。跳ね起きるように振り返れば、木の上に軽装の騎士がいた。
「上からも捜しているかもしれない」
騎士はくすりと笑って枝から飛び降りた。なんともない動作なのに驚くほど音がしない。敵わないなと思いながら、エルダリオンは騎士を見上げた。
「父上はなぜここに?」
テルコンタール王朝の祖であり、エルダリオンの父である現王エレスサールは執務中のはずだ。しかし、執務室の出入りをしばしば露台や窓から行うと噂される王は、包み隠すことなくあっさり答えてくれた。
「出かけようとしたら急に騒がしくなった。だから避難したまでだ。まさか、お前が原因とはね」
片目を瞑っていたずらっぽく口の端を上げる顔に、エルダリオンを咎める色は見られない。まあ、こういう形で出会ってしまえば、お互いに窘めることなど出来るわけもないが……。
「で、お前はどうしたんだ。またさぼりか?」
いつもさぼっているような言い方をしないで欲しい。エルダリオンは少々むくれた。
「午後の講義は講師が休みで無くなった」
「それで遊びに出かけようというわけか」
「止めるべき?」
エルダリオンは小さな声で訊いた。すごぶる物わかりのいい父親だが、放任はしない。第七環状区を出るなら一人歩きをするな、というのは父の決めたことでもある。
「止めろとは言わないが、それなら護衛の一人か二人連れていけ。不用心だぞ」
「……じゃあ、頼んでもいい?」
エルダリオンはちらりと父親を見た。
「わたしにか?」
父は目を見開き、一拍置いて小さく吹き出した。
「わたしに護衛を頼むのはお前くらいだな」
それはそうだろう。父はゴンドールとアルノール、二国を統べる王なのだから。普通なら護衛される側だ。
だが、エルダリオンはこれまでに幾度か、父を護衛役にして街を歩いたことがある。一度目は本当に抜け出した——というより強行突破だったが、短い散歩を楽しんだ。その後、二、三度、散歩を楽しむ機会があったが、それらは遠巻きに野伏の護衛が付いたものだったらしい。執政や近衛隊、侍従たちも承知の、お膳立てされた外出だったわけだ。
「悪いが、今日は付き合えない。ちょっと用があって、すぐに戻ってこなければならないから無理だ」
「いいよ」
エルダリオンは軽く首を振った。頭ごなしに「戻れ」と言わず、子供の話に耳を傾け、依頼に応じられない弁明までされては、文句を言えるはずもない。
「だが、囮なら引き受けるぞ。どうする?」
囮……? なんのことかと首を傾げるエルダリオンに、父はにこっと笑った。
「しばらくの間、衛兵を引きつけてやる。その間に自力で出られるか試してみろ。それが無理なら、一人で街へ下りるのも危険だということだ。おとなしく諦めるんだな」
青灰色の瞳がきらりと光る。おもしろがっているのだ。それならば——と、エルダリオンは知りたかったことを訊いてみた。
「……脱出経路を教えてくれるなんてことは?」
あたたかな手がくしゃりとフードごと頭を撫でた。
「エルダリオン。人生はそんなに甘くない」
厳しいひと言を残し、軽装の騎士は踵を返した。
「騒ぎが起こったら、ここを離れろ」
ひらひらと手を振り、騎士の姿は回廊の柱の向こうへ消えた。しばらくして、建物の中から兵士の叫び声が上がった。
◆◇◆◇◆◇◆
城塞に並ぶ建物の陰にエルダリオンは身を潜め、周囲を窺った。塔の向こう側を突っ切っていく人影があった。マントをはためかせ、走っていくのは軽装の騎士。フードを外し、顔を晒しているのはわざとだろう。囮は目立たなければ意味がないからだ。騎士の後を甲冑姿の衛兵が駆けていく。
「陛下ッ!」
一団が通り過ぎた後、エルダリオンは塔をまわり込み、裏手の建物へと走った。確か備品庫があったはずだ。
第七環状区への出入りは隧道を通らなくてはならない。父が誰にも見つからずに出入りするくらいだから抜け道があるのかもしれないが、エルダリオンは知らない。ロープ無しでは第六環状区へ下りることすら出来ない。戻ってくるときのことは……、
——また考えよう。
エルダリオンは適当に建物の扉を開けた。入り口の脇に樽が置いてあり、籠が積んである。運良く備品庫を当てたようだ。壁に束ねたロープがぶら下がっている。ツイていると、それに手を伸ばしたとき——、
「何をお探しですか。殿下」
背後から静かな声がかかった。ロープに伸ばした指先が宙で止まる。
——いつの間に……。
父が引きつけてくれていると思って油断していた。
「ロープをお探しでしたか」
カツ、カツ……と足音が近づき、すぐ後ろで止まる。エルダリオンは振り返ることができなかった。
「何にお使いになるんです?」
エルダリオンの背後から腕が伸び、すっとロープを取った。
「エルダリオン様」
やさしい声とともにエルダリオンの肩に手が置かれた。くいっと身体が反転させられる。
「お答えいただけますか」
目の前に、今もっとも会いたくない人物が雅びな微笑を浮かべて立っていた。
「……ファラミア」
エレスサール王の治世を支え、今ある繁栄の礎を築いた一人だと評されるイシリアン公。執政職を兼ねているためミナス・ティリスに留まることも多く、公私に亘って国王の良い相談役となっている——と言われている。エルダリオンの目からはお目付役に見えるが、父が頼りにしている点は嘘ではない。
「珍しく陛下が目立ったことをなさると思ったら、陽動でしたか」
そんなことを言いながら、有能な執政はシュッとロープをほどき、先に輪をつくった。次の動作が気になるところだが、どうするつもりかとは訊けない。訊いたら、「お教えいたしましょう」と笑顔で縛り上げられそうである。
「さて、参りましょうか」
背筋が寒くなるような笑みに促され、エルダリオンはとぼとぼと備品庫を出た。これで歩かなかったら、間違いなくロープで括られて引き立てられる。この執政は相手が王族だからといって容赦はしない。
外ではまだ兵士が慌ただしく行き来していた。だが、先程と違い、何かを追いかけている動きではない。
「……はどうだ?」
「いや……」
どうやら、父は兵の追尾を振りきったようだ。兵士たちには気の毒だが、エルダリオンはほっとした。
「陛下の行き先はご存じですか?」
ファラミアに訊かれ、エルダリオンは首を振った。
「すぐ戻るような話だったけれど、どこへ行くのかは聞かなかった」
「そうですか」
ファラミアは城塞をぐるりと見回したが、衛兵に尋ねることもなく、エルダリオンを促して歩き始めた。このまま後宮か執政の執務室へ連行されるのか思ったが、彼は近くにある見張りの塔の下で足を止めた。
「殿下をお送りしてくれ」
塔の下に立っている衛兵にそう命じると、ファラミアは塔の階段を上がり始めた。
「待ってくれ。一緒に行く」
「楽しいものではありませんよ」
先程までとは打って変わった冷ややかな顔が振り返った。
「構わない」
ファラミアが何をするつもりなのかわからないが、このまま部外者の立場に置かれたくなかった。元々、自分が巻き起こした事だ。成り行きを見届けたい。エルダリオンが階段に足をかけると、ファラミアは肩を竦めたものの、それ以上何も言わなかった。
「これはファラミア様、殿下……」
見張りの兵士は突如現れた執政と王子の姿に慌てたが、「陛下の動きはエルダリオン様のための陽動だ」というファラミアの説明には妙に納得した顔で頷いた。
「それで、陛下のお姿は?」
「先程までは見えましたが、今はさっぱり……」
兵士は弱った顔で言った。
「どこから出入りなさっているのでしょうか」
「さあ、わたしも知らない」
ファラミアは苦笑し、城塞を見回した。
「教えていただけないかと頼んだことがあるが、『見つけたら教える』とはぐらかされてしまった」
それでは教えることにならない。呆れる話だが、ファラミア相手にそんなことを言った父に少々感心した。
「それ以来、折を見て探しているが……なかなか手強い。見当は付いてもはっきりと……」
不意にファラミアの言葉が途切れた。城塞をさまよっていた視線がある一点で止まる。その視線を追って、エルダリオンは息を呑んだ。見張りの塔から右手、建物の脇に軽装の騎士がいた。
「下へ報せます」
勢い込んで言った兵士をファラミアは「待て」と制した。
「こちらが騒げば逃げられてしまうだけだ。それより弓を」
——弓? ……って、まさか……。
エルダリオンは信じられない思いでファラミアを見た。この執政が父の振る舞いに対して厳しいのは知っている。だが、それは父の国王らしからぬ言動に限ることであって、害する意図はないと信じ、疑ったことはなかった。しかし——、
ファラミアは兵士から受け取った弓に矢をつがえ、ゆっくりと弦を引いた。狙いは軽装の騎士——エレスサール。
「父上っ!」
エルダリオンは叫んだ。父がこちらを向く。気づいてくれたと安堵したものの、彼はどういうわけかぴたりと動きを止めてしまった。早く逃げてくれという思いも虚しく——、
ヒュン……。
弓弦が唸りを上げた。
◆◇◆◇◆◇◆
「父上はファラミアに甘い!」
バンッと叩きつけるように、エルダリオンはローテーブルに手を付いた。向かいの長椅子の上で父は飛び上がるようにその身を仰け反らせ、青い目をしばたたかせた。
「……何を怒ってるんだ」
何をだって? そんなことは決まっている。半刻ばかり前、城塞で起こった“事件”のことだ。
執政が放った矢は結果として王の身を一切傷つけなかった。幸いにもコートの袖口を、背後の木戸に縫い止めるだけで済んだ。だが、主君に弓を引いたのは事実である。見過ごしていいことではない。それなのに、父がファラミアを見て口にしたのは——、
「穴が空いた」
コートの袖をひらひらさせながらの、のんきなひと言だった。後は何ひとつ咎めることなく放免したのである。信じられないほど甘い処置だ。
「矢を射られたのに処罰は無し、咎めもしなかったじゃないか。どうして?」
「どうしてって……、あれは見張りの兵士が、野伏の一人を曲者だと見誤って矢を放ったと、そうカタを付けたんだ。それなのに、ファラミアを罰したらおかしいだろう」
確かに記録上はそうした。執政が王に矢を放ったなどと記録に残せるはずもない。矢を放った兵士と、紛らわしい行動をした野伏に、それぞれ注意を与えて一件落着——日誌にはそう書かれるはずだ。
けれど、それはあくまでも表向きの話である。主君に矢を放つとは何事だと、もっと強気に出てもいいはずだ。いや、そうするべきだ。なのに、この父親ときたら、反対に執政の叱責をおとなしく聞いていた。どちらが主かわかったものではない。
「今訊いているのは、どうしてファラミアには弱いのかってことだよ」
そう、今日に始まったことではない。今まで父が執政の言を退けたとか強硬に反対したとか、そういう話を聞いたことがない。それだけ気が合うのかと思っていたが……。不意にエルダリオンの頭の隅で、ある可能性がよぎった。
「まさかと思うけど、父上、ファラミアに弱みを握られている……なんてことは」
否定して欲しい気持ちで言ったのだが——、
「……弱みか。そうだな……握られていると言えなくもないかもな」
のんびりと言われて、エルダリオンは愕然とした。本当なら由々しきことである。
「どんな!?」
勢い込んで問いただすと、父はたじたじと長椅子の上をズレ動いた。
「どんなって……。とりあえず、テーブルから降りたらどうだ……」
言われて、ローテーブルに膝を乗り上げていることに気づいた。が、今はそんなことはどうだっていいではないか。
「だから好き勝手にさせてるわけ?」
青灰色の瞳を睨みつけると、父は考えるように首を傾げた。
「好き勝手に……させているつもりはないが……、させたところで、政の面では不都合もないし……」
もごもごと歯切れの悪い口調もさることながら、何よりその内容にエルダリオンは苛立った。
「父上っ!」
いったい誰が統治者なのかと、子供でも問いただしたくなる。しかし、近習の者たちから感覚がズレていると噂されるゴンドールの王は、うるさそうに手を振っただけだった。
「大きな声を出すな。とにかく落ち着け」
「父親に矢を射かけられて落ち着いていられるわけがない」
憮然として言うと、矢を射かけられた当人はきょとんと首を傾げてくれた。
「当たらなかっただろう」
「たまたまじゃないか。当たる可能性だってあった」
どこまでのんきなのかと腹立たしくなる。当たりどころが悪ければ、ただの怪我では済まないというのに……。苛々するエルダリオンの前で、父はおかしそうに笑った。
「それはない。彼は弓の名手だぞ。外すものか。袖に当たったのはたまたまじゃない。狙ったんだ」
自信たっぷりに言う。
「当てるつもりがなかったせいか、殺気を感じなかった。だからお前が叫ぶまで気づかなかった。助かったよ」
にこりと笑って、父はエルダリオンの頭をくしゃっと撫でた。
「助かったって……父上は動かなかったじゃないか」
あのとき、父はぴたりと動きを止めてしまった。避けることがいくらでも出来ただろうに。
「彼の腕は確かだが、あの距離ではさすがに不安だ。下手に動いてはかえって当たる」
話しながら、父はテーブルに乗り上げたままのエルダリオンの腕を引いた。引かれるままに、エルダリオンは父の隣におさまった。
「だから動くのを止めたんだ。的は動かないほうがいいだろう」
エルダリオンは耳を疑った。
「じゃあ……止まったのはわざと……?」
「そうすればきちんと外してくれるだろう?」
事もなげに言われ、エルダリオンはまじまじと父を見つめた。
「……そんな。……殺されるかもとは思わなかったの?」
いくら信頼厚い右腕とはいえ、矢をつがえて狙っているのだ。危害が及ぶと考えるのが普通だろう。しかし、ゴンドールの王は普通ではなかった。
「どうしてファラミアがわたしを殺すんだ。そんなこと、彼がするはずないだろう」
大真面目な顔で言うのだから、返す言葉がない。
「だいたい殺す気なら、あんな目立つ方法を取るものか。彼ならもっとうまくやる」
「父上!」
物騒な発言に強い声を上げると、手が伸びてきて「落ち着け」と頭をくしゃくしゃ掻き回された。
「そんなことはまず起こらない。もし、彼がわたしを殺そうとする日が来たのなら、それはわたしが救いようのないほど愚かな存在になった証だ、きっと」
穏やかな表情で父は目を伏せた。けれど、言葉の意味は重い。
「……なぜ、そこまでファラミアを信じられるの?」
父がゴンドールに新たな王朝を興し、それを公私ともにファラミアが支えてきたという話は聞いている。主従というより戦友に近い感覚があるのかもしれない。だからといって、こんな無条件と言っていいほどの信頼を寄せられるものだろうか。
「なぜって、それは……」
父は考えるように天井を見上げ、しばしの沈黙の後、ぼそりと呟いた。
「……なぜなんだろうな」
間の抜けた答えに、エルダリオンはがくりと肩を落とした。別段、痺れるような格好いい台詞を期待したわけではないが……、もう少し締まりのあることを言って欲しい。ため息を吐くエルダリオンの肩を、父の手がぽんと軽く叩いた。
「心配するな。主殺しの決意を彼にさせる気はない。幸いにも、今までのところ、わたしの愚かさは救いようのある範囲に留めている。この先もそのつもりだ」
安心しろと、ゴンドールの王は笑った。
「だから、エルダリオン——」
あたたかな手がエルダリオンの頬を包む。
「今日のことで、彼を責めるな」
世継ぎと執政が不仲ではわたしが困る——そう微笑んで覗き込む青い瞳に逆らえるものではない。
「わかったよ」
エルダリオンのこめかみに、父の唇が下りてきた。
後編>
リクエストいただきました「ファラミアが活躍するエルダリオンとアラゴルンの話」でございます。
活躍というより、氷点下のキレ方をしているような閣下であります。いくら腹黒くても矢を射ることはないだろう——と我ながら思いますが(ヲイ)、書いていたらこうなりました(無責任)。
いろいろ捏造していますが、エルダリオン坊ちゃま(坊ちゃま呼ばわりかい)の生没年は不明だと、実のところ思っています(ヲイ)。ただ、それだとおはなしを書くのに不都合なので、ぐーぐるさんで検索し、
Timeline of Arda(ttp://en.wikipedia.org/wiki/Timeline_of_Arda)
にあるForth Ageの「43 - Birth of Eldarion, son of Aragorn and Arwen」という記述を下敷きに「40年前後のお生まれ」としたわけです。43年という妙に細かい年の算出が何に基づいたものなのかは存じません(コラ)。
40年前後のお生まれとして計算すると、王位を引き継ぐ120年は80歳前後。ゴルンが「あとよろしく」と託すには充分なお年と言えます。これがゴルンの結婚後すぐに生まれていると、譲位でもない限り100年以上待機しなければなりません。
長寿のようなので100年くらいどうってことないのかもしれませんが(古い時代のドゥネダインの王家は100歳以上の王子がたくさんいそうだ)、それでは「充分に円熟し」を通り越して「枯れかけ」になりそうな……。
しかし、同じ“Wikipedia, the free encyclopedia”内にある“Eldarion”のページの記述は
He was born in the Fourth Age, probably around year 20 of that Age, and died around year 220 (assuming he lived roughly as long as his father).
となっています。「born in the Fourth Age, probably around year 20」って……43年じゃなかったんかい、どっちやねん! と思わず突っ込みたくなります(笑)。
ここでもうひとつ気になるのがお亡くなりになった年の記述「died around year 220」。こちらの根拠はどうなのかというと、“The Letters of J.R.R. Tolkien”のLetter #338に
reference to Eldarion's reign lasting 100 years
という記述があるらしいです。「lasting 100 years」で、120年に引き継いだから「died around year 220」。で、おとんと同じくらい長寿なはずだから200歳はカタイ……ということで「220-200=20」なんでしょうか。
と、なると位を継ぐときは100歳前後……。ひょっとして、寿命が只人の2〜3倍あるから、円熟するのも2〜3倍かかって、100年くらい経たないと円熟しないんでしょうか(そういう発想か)。そりゃ、米寿近いゴルンが迷うのも納得(違)。さぁて、拙作の設定も20年頃のお生まれに変えようかァ(自棄)。
活躍というより、氷点下のキレ方をしているような閣下であります。いくら腹黒くても矢を射ることはないだろう——と我ながら思いますが(ヲイ)、書いていたらこうなりました(無責任)。
いろいろ捏造していますが、エルダリオン坊ちゃま(坊ちゃま呼ばわりかい)の生没年は不明だと、実のところ思っています(ヲイ)。ただ、それだとおはなしを書くのに不都合なので、ぐーぐるさんで検索し、
Timeline of Arda(ttp://en.wikipedia.org/wiki/Timeline_of_Arda)
にあるForth Ageの「43 - Birth of Eldarion, son of Aragorn and Arwen」という記述を下敷きに「40年前後のお生まれ」としたわけです。43年という妙に細かい年の算出が何に基づいたものなのかは存じません(コラ)。
40年前後のお生まれとして計算すると、王位を引き継ぐ120年は80歳前後。ゴルンが「あとよろしく」と託すには充分なお年と言えます。これがゴルンの結婚後すぐに生まれていると、譲位でもない限り100年以上待機しなければなりません。
長寿のようなので100年くらいどうってことないのかもしれませんが(古い時代のドゥネダインの王家は100歳以上の王子がたくさんいそうだ)、それでは「充分に円熟し」を通り越して「枯れかけ」になりそうな……。
しかし、同じ“Wikipedia, the free encyclopedia”内にある“Eldarion”のページの記述は
He was born in the Fourth Age, probably around year 20 of that Age, and died around year 220 (assuming he lived roughly as long as his father).
となっています。「born in the Fourth Age, probably around year 20」って……43年じゃなかったんかい、どっちやねん! と思わず突っ込みたくなります(笑)。
ここでもうひとつ気になるのがお亡くなりになった年の記述「died around year 220」。こちらの根拠はどうなのかというと、“The Letters of J.R.R. Tolkien”のLetter #338に
reference to Eldarion's reign lasting 100 years
という記述があるらしいです。「lasting 100 years」で、120年に引き継いだから「died around year 220」。で、おとんと同じくらい長寿なはずだから200歳はカタイ……ということで「220-200=20」なんでしょうか。
と、なると位を継ぐときは100歳前後……。ひょっとして、寿命が只人の2〜3倍あるから、円熟するのも2〜3倍かかって、100年くらい経たないと円熟しないんでしょうか(そういう発想か)。そりゃ、米寿近いゴルンが迷うのも納得(違)。さぁて、拙作の設定も20年頃のお生まれに変えようかァ(自棄)。